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第11回福島・東葛活動報告会 「福島・東葛の現状と、保養の必要性」報告

第11回福島・東葛活動報告会 「福島・東葛の現状と、保養の必要性」報告 2020/02/23

福島の現状と保養の必要性についてのパネルディスカッション

11月16日文京区民センターで、11回目の福島・東葛活動報告会を開催しました。参加者は19名と小さな集まりでしたが、内容は濃く、第一部の白石さんから聞いたウクライナの保養で行われていることが、まさに快医学の内容と似ており、驚くと同時に私たちの活動への後押しと感じました。第2部のパネルディスカッションの、福島から来られた佐久間さん、福島から松本に避難された中野さんのお話しは、事故後8年の現在でも、心重く、張りつめている現状と、それを打ち破ろうとする意志が伝わってきました。チェルノブイリ日本版条例制定に向けての動きについても柳原さんより紹介があり、これからの私たちの活動の示唆となる話がたくさん交わされた時間でした。いのちの快ネット通信より、第一部の要約をここに載せます。(事務局:野本美保)

第1部
『チェルノブイリ28年目の子どもたち2 いのちと健康を守る現場から』(OurPlanetTV制作)を見た後に、
白石草さんの講演『子どもたちを守る~チェルノブイリと日本の今』がありました。以下要約です。

ウクライナでは、チェルノブイリ事故から28年経った今も「チェルノブイリ法」によって、年間0.5ミリシーベルトを超える地域の住民には、今も様々な支援策が講じられている。チェルノブイリ法は事故後5年目に成立し、その直後にソ連は崩壊した。ソ連の崩壊はチェルノブイリの事故のせいだったと、後にゴルバチョフ氏が語っている。

福島事故後の2012年、経産省でその後事務次官に上り詰めた菅原郁郎氏ら経産官僚が、ウクライナを訪問し、被災者支援を担当する社会政策省の副大臣に面会しているが、その時の記録は一切残っていない。取材すると、ウクライナ側は保養の大切さを伝えたと語ったが、日本政府の記録は何もない。日本の官僚はチェルノブイリ法を作らせないために動いたとしか考えられない。

白石草さんの資料より

ウクライナは、2013年に保養庁を作った。事故から28年経っても保養の重要性が変わらず、さらに拡充されている。その背景は、子どもたちの健康の悪化がある。体育の授業中に心筋梗塞で死亡する子どもが増加したことにより、心臓血管系の負荷や状態を調べるルフィエテストが導入され、その結果により体育の授業がグループ化されている。

疾病率が上昇し、ウクライナの学校に取材に行くと、どこでも「100%健康な子供はいなくなった」という言葉がきかれる。保健室は4部屋あり、歯科やアロマの部屋がある。直接被曝した第一世代より、その子どもの第二世代、孫の第三世代の方が、より健康状態の悪化が見られる現状。

ウクライナは、財政はひっ迫しているが、病気になってお金をかけるより、国の未来をかける子どもが元気でいてもらえるように、今のうちに予防にお金をかけるのは当たり前という考え方。この点が日本と全く違う。
旧ソ連では子どもの育成を第一に掲げていて、戦前から子どもの保養キャンプが組織的に行われていたことも、保養が根付いている大きな要因である。

チェルノブイリ被災者の子どもは、1996年に作られた詳細な健診の手引きに沿って、2年に一度2~3日かけて、心身の発育と健康状態などをトータルに診るきめ細やかな健診を受け、保養庁の費用負担で19日間の保養に行くことができる。(54000人/年)
保養先では、自然療法(温熱手当てや薬草茶、薬草の蒸気の吸入、鍼灸マッサージなど)や理学療法が中心で、体操や、栄養のある食事に力を入れ、免疫力を上げることが重点課題とされている。

ウクライナ政府報告書では、チェルノブイリ事故の影響により非ガン系疾患も悪化していることを認めている。歯との関連も指摘されていて、エナメル質が剥げている子どもが増えている。日本でも、福島の子どもの虫歯が日本一になり、金沢の保養で子どもの歯の異常が指摘されているので、ぜひ注意して見てもらいたい。

チェルノブイリでは、初期被曝のデータが数万人分あるが、日本では数千人しかなく、ヨウ素だけ。日本政府は、福島の子どもの甲状腺がんと放射線被ばくの関連を依然として認めていない。福島県民健康調査で2019年10月公表の結果は、小児甲状腺がんの手術をすでにした子どもが174名、疑いを含めると231名となっている。データに含まれていない子どもも多数いることが判明している。

甲状腺がんに地域差(放射線量の差)が見られる結果が出たにもかかわらず、そのデータを使用しないと決め、地域差の出ないデータのみを報告書の根拠とするなど結論ありきの報告書が出されている。
そして、過剰診断論が蔓延し、検査を縮小すべきだという意見も強く、5巡目に向けたお知らせ文には、検査によるデメリットが強調されている。

現実は、2巡目でがんと診断された71人の内1巡目でA判定だった子どもが9割。3巡目4巡目でがんと診断された42名のうち60~70%が前回A判定だった。重症例や、再発例もあるなか、検査の重要性は疑いの余地がない。執刀医の鈴木眞一氏も、過剰診断ではない、と発言している。

甲状腺がんは、30年後に再発があると言われていて、手術したら終わりではない。再発の不安を抱えて生活せざるを得ない子どもたちへの想像力を持ってもらいたい。
実質的に子どもを守ることを、何らかの形でやりたいと思っている。

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