ヒトは食べなくては死んでしまう生き物です。「食」は命の基本です。ヒトとして自然な「食」というのはどんな食生活なのかを考えてみましょう。
ヒトは何でも食べる雑食文化を持っていますが、食性はほとんど植物食のゴリラやチンパンジーと同様に草食動物です。その証拠にヒトの32本ある歯のうち、肉専用の歯はたった4本だけです。ほかは野菜をかみ切る前歯と、穀類をすりつぶす臼歯で構成されています。ですからヒトはこの歯の組成と同じ7:1の割合で、野菜・穀類を中心にして7、肉類は1くらいの目安で食べていけばいいわけです。
現在の日本の栄養学は、やむなく北方に行き、穀物が十分にとれない中で肉食を中心とせざるを得なかったヨーロッパの人々の指導を受けて明治以降に成立してきたものです。それは、日本古来の日本の風土に合った豊かで合理的な食生活を大きく変容させてきました。そしてさらに、敗戦後アメリカより脱脂粉乳や小麦粉が大量に日本に入ってきて、学校給食で使われるようになり、食生活がさらに欧米化され、伝統食が破壊されてきたのです。